2009年12月28日

官僚の光と陰

 公共施設が不十分な昔は官僚の果たした役割は大きいものがあった。その叡知により予算が使われ公共投資が行われ、日本の発展に寄与してきたと云える。しかし、公共設備が充実してきても、更に、予算の維持・拡大を前提として、獲得した予算を使い切るために無駄な事業を考え出してきた。

 箱物行政を初めとしてダム、道路、空港、大規模な埋め立て工事など、最もらしい理由と過剰な需要を設定して大規模工事を行ってきた。ダム建設費は当初3000億円であったものが、工事が進むに連れて建設費が数倍になり底なしに増えて行く。一旦はじめてしまえば後戻りはない。建設費がかかればかかるほど建設業者は儲かり、官僚は、それにつけ込み天下りする。天下ったOB官僚は現役官僚に更なるダム工事を要請する。
 
 高速道路通行料などを集めて道路特別会計、空港着陸料などを集めて空港特別会計を設定して道路や空港建設に使えるような仕組みを考えて、果てしなく高速道路、空港を造ってきた。地方に補助金付きの公共投資を行わせ、多大な投資をさせて、その維持管理ができなくなり、地方に膨大な借金を負わせ破綻寸前に追い込んだのも官僚のなせる技によるものである。

 官僚のまとめた予算というものは、こうした予算維持・拡大のために考えたもので、もっともらしい理由があるとしても、獲得した予算を使い切るために考えたものが多いと云える。獲得予算が減るということは官僚にとっては能力がないと思われ、何としても事業を考え出して予算を積み上げることになる。こうして国家予算は年々増えることになり、無駄な公共事業が増えることになる。国家予算というものは、こうした背景があるので、精査すればもっと圧縮できるはずであり、圧縮すれば目一杯の抵抗はあるとはいえ社会的な影響少ないと思われる。

 建設会社は箱物・道路・空港・大規模事業を行政として推進するように自民党族議員に献金をして依頼する。成功報酬としてまた自民党族議員に献金する。政治献金額の多い政治家は、こうしたことに関わってきた政治家と云えなくもない。従って、官僚の天下り先への工事発注、工事予算の維持・拡大を自民党族議員が止めることはできない。ここに政官業癒着というか、自民族議員・官僚・建設会社などの癒着は揺るぎないものになる。自民党は長年の歴史から、この構造を改革することはできない。

 こうした政官業の癒着の現状が明らかになり、このしがらみとは関係のない能力のある民主党議員が多くいることが、国会質問、マスコミ活動を通して明らかになった。国民は自民党政権下では税金が無駄使いされ、これを是正できないことを実感し、民主党に改革を託したことになる。自民党政治の復活は予算の無駄使いの復活と国民は感じている。

 民主党は政治力で官僚が無駄な予算を組むことができなような、また、状況に応じて大胆に予算を削減することができるようなシステムを創り上げて欲しい。


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